ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
昼時で店の中は混んではいたけど、すぐに入ることができた。
店員に席に案内されて荷物を置いてから、俺らはバイキングに向かった。
「え…旬君、いきなりケーキ?」
軽食のあるほうに行こうとしていたナツに、目を丸くして言われた。
「うん!」
頷いて、俺は目の前のケーキを皿に乗るだけ乗せた。
久々のケーキバイキングに、俺はテンションが上がりまくりだった。
「いただきまーす」
席に戻ると、俺は早速フォークを持ってケーキに食らいついた。
ショートケーキを一口食べて、口の中のクリームが広がる感じに幸せな気分になれた。
「あれ? ナツ、食わねえの?」
俺はもう二つ目のチョコレートケーキを食べ始めてるのに、ナツはまだ自分の皿に手をつけていなかった。
ナツの皿には、パスタとサンドイッチが二つ乗っていた。
「ううん。……美味しそうに食べるなぁって思って」
「うん。本当に美味いよ」
俺は何でナツがそういう風に言うのか分からなかったけど、思ったままの感想を言った。
「うん……そうよね」
ナツは笑顔でそう言って、自分の皿のパスタを食べ始めた。
その笑い方が、自然なのにくすぐったいぐらいにすごく優しくて、俺も笑った。
ケーキを食べながら、すぐ目の前にはナツ。
今までで一番幸せな状況かもしれない。