ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
好きなものだらけで、俺のテンションはさらには上がる。俺は皿の上の最後の一個のケーキをフォークで刺した。
「サンドイッチはなくなってたよ。あたしが取ったのが最後だったから。また違うのに変わってたよ」
「えっ!?」
ナツの言葉に、俺はショックを受けた。
はたからすれば、そんなことで……って感じだろうけど、俺には結構重要なことだ。
ないのか……そうか……
「……はい」
ナツが、サンドイッチを俺の皿に置いた。
「え……」
「旬君、食べていいよ。あたし、また他の取ってくるから」
「いいの?」
「うん。好きなんでしょ?」
ナツの優しさに、俺はものすごく感動した。
「ナツ、ありがと! いただきまーす!」
俺はすぐにそのサンドイッチに食いついた。
特になんでもない、どこにでもあるような普通のサンドイッチだったけど、ナツがくれたというだけで、今まで食べたことのないくらい美味しく感じた。
それから、俺達はケーキやメシを食べながら、色んな話をした。
「ナツは食べもんで何が好き?」
「んー……特にこれが好きっていうのはないかなぁ。その時の気分で変わるから……あっさり系が食べたい時は和食だし、こってりしたのが食べたい時は中華とか……」
「へー。俺はこってり系が好き」
そんな風に、ラーメンでは俺は豚骨、ナツは醤油が好きで、焼き肉は俺がカルビ、ナツはタン塩、カレーは二人とも辛い方がいい……と、何故だか食べ物のことばっかだったけど、俺達はたくさん話した。
話している間、ナツはたくさん笑っていて、それを見て、俺はすごく嬉しくて、楽しくなった。