ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
どうしよ……
ケータイで時間を見てみると、二時前だった。バイトは三時からだ。あと一時間ちょっと。
誰か他の人に頼もうにも、今からだったら流石に無理に決まってる。ていうか、絶対に無理だ。この前も、全員に頼んで、全滅で、それだから必死になんとかなりそうなさっきの先輩に頼んだんだから……
「どうしたの?」
ナツが首を傾げて聞いてくる。
もう諦めるしかない。
「ナツ、ごめん……バイト入っちまった」
「本っ当ごめん! こっちから誘っといて……マジでごめんな!」
店を出て、ナツを家まで送りながら、俺は何度もナツに謝った。
「いいよ、そんなに謝らなくても」
謝るたびに、ナツはそう言って首を横に振った。
「だって、バイトでしょ? それならしょうがないよ」
ナツの優しさが目に染みるくらいだった。
本当は違う。俺が勝手なことをしたからこうなったのに……
あっという間にナツのコーポ前に着いてしまった。
「じゃあ……バイト前なのに、送ってくれてありがとう」
「ううん。まだ時間あるから……」
本当にあっという間だった。
ていうか、デートで二時半解散とか有り得ねぇだろ。(いや、俺のせいだけど)
もっと、ナツと一緒に居たかったけど……今日はしょうがない。
「ナツ、あのさ……」
ナツに話しかけると、ナツは俺を見上げるようにして見る。
「今日、付き合ってくれてありがとな。俺、すっげー楽しかった」