ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「買い物って、服とか?」

 歩きながら、あたしは聞いた。


「うん。しばらく買いに行ってなかったから見てみよっかなーって思って」


「そっか……」


 大学受験したって言ってたし、ずっと勉強で買い物とか行ける暇なかったんだろうな……


 そう思いながら、あたしは旬君に付いて歩いた。




 しばらく歩いて着いたのは、旬君がいつも行っているというメンズのショップ。


「何買うの?」

 中に入ると、あたしは聞いた。


「えーっと……Gパンとか」

 ショップの中を見回しながら、旬君は言った。


 言った通りのGパンの棚に向かうのに、あたしは付いて行った。


 棚の前で、選んでいるらしくGパンを眺めている旬君の隣で、あたしも同じように棚を眺めた。


「……ごめんな? 付き合わせて。ナツ、暇だよな。すぐ終わらすから」

 気を使ってくれたのか、旬君が言った。


「ううん。しばらく買い物してなかったんでしょ?それならゆっくり見ていいよ」

 あたしは首を軽く横に振って言った。


 確かに、やることはないけど、あたしは別に人の買い物に付き合うことは嫌いじゃない。むしろ好きだ。

 特に、自分の系統じゃない店で、色々と品物を見るのは楽しい。一人だと、明らかに買う目的はないというのが店員にもバレバレで、嫌な視線を浴びてしまうけど、誰かの付き添いなら、どれだけ見ても構わない。


 だから、何気にあたしは楽しんでいた。今日は特に、滅多に来ないメンズのショップだから、あたしは物珍しく店内を見回していた。


 そこで、目に入ったのは、セールの文字。品物はダウンジャケットだった。


 もう冬物はセールの時期かぁ。そう言えば、先週行った時も、セールしてたところもあったっけ。そんなに安くはなってなかったけど……

 そんな風に考えながらあたしは見ていた。


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