ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「旬君」

 放っておけずに、あたしは声をかけた。


「なっ何?」

 旬君の首がこっちに戻ってきた。


「もしかして、そこがいいの?」

 あたしはお店を指差して言った。


「え、何で?」


 何でって……


「だって……すごい見てたから。甘いもの好きなの?」


「うん……まぁ」


 旬君は少し照れくさそうに頷いた。


 やっぱり。この様子だと、よっぽど好きなんだろう。


「じゃあ、行く?」


「え……」

 旬君は目を丸くして、きょとんとした顔になった。


「お昼、ここにしようか」

 ここのではないけど、同じお店に行ったことがある。確か、バイキングはケーキだけじゃなかったはずだ。


「いいの?てか、昼飯だし、ケーキは……」

 遠慮しているみたいにそう言った。


「いいよ。ここってケーキだけじゃなくて軽食も置いてるし。それにあたしもちょっと甘いもの食べたいから」


 旬君は、明らかに行きたいはずだ。あたしだって甘いものは好きだし、久々に行きたい。


「いいの……?」


「うん」

 まだ遠慮がちの旬君に頷くと、旬君は何も言わずに、まるで花が咲いたように満面の笑顔になった。


 それだけで、嬉しいんだなぁってことは、すぐにわかった。

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