ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「え…旬君、いきなりケーキ?」

 バイキングに行くなり、旬君はいそいそとケーキの方に向かっていたのに驚いた。


「うん!」

 旬君は笑顔のままで頷いて、そのままケーキを取りに行く。


 さっきは、お昼ご飯にケーキは、って言ってたのに……


 周りは殆ど女の子だったのに、うきうきとした様子でケーキを取る旬君は、何故かその中に違和感を感じさせなかった。



「いただきまーす」

 旬君は元気よくそう言うとフォークを握ってケーキを食べ始めた。


 旬君のお皿の上には、器用なぐらいぎっちりと、乗るだけのケーキが乗っている。


 ショートケーキを一口食べただけで、旬君は今までにないぐらい顔を緩ませていた。


 本当に好きなんだなぁ……


「あれ?ナツ、食わねえの?」

 あっと言う間に一つ目を平らげた旬君は、次のチョコレートケーキを食べながらこっちを見た。


 思わず見入ってしまって、自分のことを忘れてた。


「ううん。…美味しそうに食べるなぁって思って」

 あたしは、見たままの素直な感想を言った。


「うん。本当に美味いよ」

 旬君は少しきょとんとした顔で、そう言った。


「うん……そうよね」


 こんなに幸せそうになってる。聞かなくても、丸分かりだ。


 そんな旬君を見てると、思わず顔が緩んだ。


 旬君は、ご満悦という表情で、ケーキを食べ続けていて、あたしはそれを見ながら、自分のお皿の上のパスタを食べた。

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