ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
ナツとは初デート以来、お互いに上手いこと都合が合わなくて、一度も会えてない。
でも、メールか電話は毎日していて、そのナツの俺に対する態度とかは、日に日に良くなってるんじゃないかと思う。
ちゃんと俺のことを『旬』って呼んでくれるようになったし(最初に電話で呼ばれた時の、ナツの恥ずかしそうな声は物凄く可愛かった)、たまにナツの方からメールをくれる。
だから、もうそろそろいいんじゃないか。つうか、もうそろそろ俺の方が我慢できない。
それで、これでも悩みに悩み抜いた後、丁度俺の卒業式が金曜日だからというのもあって、その日を選んだ。
勿論、ナツが良ければだけど……
「え……」
ナツは、電話の向こうで、明らかに困惑してるようだった。
ダメ……か?
俺の心臓はかなり速く鼓動していて、無意識に、拳を握り締めていた。
つうか『泊まりに来ない?』ならともかく『泊まりに行ってもいい?』なんて、男として格好がつかなさすぎだ。
でも、俺の家は親居るし、絶対好きにできないから呼べない。
それに、ナツの家に行ってみたいっていう願望もあったわけで……
「あ……あの、その……」
ナツの一言一言に、俺は神経を通わせて聞いた。
「あたしの家……狭いし何もないから、来てもつまんないかもしれないよ?」
これは、遠回しに断られてるんだろうか…それとも……
「それでも……旬がいいなら、あたしは、いいけど……」
て、ことは、いいのか? いいんだな?
「うん! 全然いい!」
部屋がどうとか、関係ない。ナツさえいれば、それで十分なんだから。
てなわけで、泊まりが決定したんだけど……
泊まりOKってことは、つまり、夜のあれの方もOKってことだよな?
ナツだってそれぐらい分かってるだろうし……ダメなら、泊まりOKになんてしないよな?
俺が気にしているのはそのことだけだった。
でも、ダメにしろいいにしろ、泊まりなら絶対そういう空気になるだろうし…ていうか、絶対そういう空気にするし。
その時のことを思うと、楽しみで楽しみでしょうがなかった。