ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~


 買い物を済ませた後は、いよいよナツの家だ。


「旬、大丈夫? ごめんね、重い方持ってもらって……三階だから、ちょっとキツいかもしれないけど」

 ナツのコーポのエントランスを抜け、階段に差し掛かったところでナツが言った。


「ううん! 俺が持ちたいから持つんだし。それに、全然重くないから大丈夫」

 俺は、余裕の笑みを浮かべた。


 いつもバイトじゃ瓶ビールが入ったカゴを持ち運んでるし、缶ビール四本が入ってる袋くらい本当に余裕だ。


 でもこれで少しはナツにいいとこを見てもらえたかな。


 ナツの部屋は、三階に上がって右に曲がって、二つ目にあった。


「本当に、あんまり期待とかしないでね。一応掃除したけど、本当に狭いし、何もないから…」

 部屋の鍵を開けながら、ナツは念を押すように言った。


「そんな言わなくても大丈夫だよ」

 ナツの部屋ってだけで、俺には十分だから。心の中でそう付け足した。


「じゃあ、どうぞ」

 ナツがドアを開けて、俺を中に進めてくれた。


「お邪魔しまーす」

 さすがにドキドキしながら、俺は部屋に入った。


 綺麗に整頓されてる玄関で靴を脱いで、中に上がった。そこから短い廊下が伸びていて、部屋に繋がっている。


 ナツが部屋に行く後ろについて、俺も部屋に向かった。


 ナツは薄暗い部屋に電気を点けて、エアコンをつけた。


「旬。荷物、こっちに持ってきて」

 そう言ってナツは台所の方に行く。


 俺は、じっと部屋を見回した。


 ナツの部屋は十畳ぐらいの1Kだった。

 壁際にベッド、真ん中にローテーブル。端の方にテレビ……そんな感じで、ナツは狭いと言ったけど、一人暮らしなら十分なぐらいだ。


 それに、建物自体はそんなに新しくはないけど、それでもナツが綺麗に使ってるのは一目瞭然で、部屋のどこを見てもきちんと整理整頓されてむしろ広く感じた。


 俺とは大違いだ。

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