ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「じゃあ、旬はそっち詰めてね。あたしはこっちをやるから」
そう言って役割分担を決めて、早速ナツは手際よく詰め始めた。
ナツの方は、慣れてるみたいで、綺麗に早く出来上がっていく。
俺の方はと言うと……
「旬、そんなに包んだら皮が破けちゃうよ」
ナツに注意を受けていた。
「大丈夫だって」
俺は笑って言いながら、皮の上に乗った山盛りの肉を包んでいく。
破かないように、慎重に伸ばして……
「ほら、できた」
破かずに包めた俺は、それを皿に置いてナツに見せた。
「なんか不細工……」
ナツはちょっと口を尖らせた。
確かに、ナツのに比べたら、丸々と太ってるみたいだ。
「食ったら一緒だって」
俺が言うと、ナツは小さく『もうっ』と言って、笑っていた。
でも結局、俺のデブ餃子は包むのに時間がかかって、さっさと自分の方のを終わらせたナツが半分ぐらい手伝ってくれた。
「……もうそろそろかな」
そう言って、ナツはホットプレートの蓋を取った。
すると白い湯気が立ち上る。
「おぉー!」
湯気の中から現れた餃子を見て、俺は声を上げた。
「お皿に移すね」
そう言って、ナツはフライ返しを使って皿に餃子をのせた。
「こっちが、ニラと白菜で、こっちが大葉とネギね」
二つに分けて皿を置くと、ナツはホットプレートに次の餃子を乗せようとする。
「ナツ。先に乾杯しよ!」
ナツを止めて、俺は缶ビールを持ち上げた。
「あ、そうね」
ナツは手を止めて、缶ビールを手に取った。
「じゃあ、旬。改めて、卒業おめでとう」
「うん。ありがと」
カツンと缶が当たって、乾杯をした。
プルタブを開けて、俺は一口ビールを飲んだ。