ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
しかし、ナツは黙ってしまった。
空気が微妙なものになる。
「ごめんっ……ちょっとふざけすぎて……」
俺は慌てて謝った。
ナツにとって、あの時のことは言っていいことじゃなかったよな……
「ううん……」
ナツは首を横に振ってくれたけど、微妙な空気はそのままだった。
「なぁ、ナツ……その、そんなにショックだった? 元彼と別れたこと……」
聞いていいことなのかどうか迷った。というかこのタイミングで聞くのはどう考えてもおかしい。
でも、どうしても気になってしまって、しょうがなかった。
ナツが、俺といる時でも、元彼のことを忘れないんじゃないかって……
「ショックっていうか……そんなんじゃなくて、やっぱり悔しいの」
ナツは下を見ながらそう言った。
「あたしは、相手にあんな風に思ってもらいたくて付き合ってたわけじゃないのに……あたしなりに、相手のことを考えて付き合ってたのに……」
「ナツ……」
辛そうなナツを見て、俺も何だか胸が痛くなった。
「それなのに、あんなデリカシーのない発言する人だとは思わなかったの!」
ナツがいきなり声を大きくして俺は驚いた。
デリカシーのないって……あれか。不感症発言。
確かにそれはひどいよな。普通言わないし。つうか、ナツは全然不感症じゃないし。
「……やっぱり、付き合い方から間違えたのかな……」
ナツはそう呟いてビールを一口飲んだ。
「付き合い方……?」
「うん……元彼とはね、合コンで知り合ったの。友達に付き合わされて行ったんだけどね。……それで、相手の一人が、友達のことを好きになって、二人が付き合うことになったの。あたしの元彼は、その人の友達で、一緒に話してて、お互いに友達が付き合うことになったから、俺達も付き合おうか、って言われて」
「……それで付き合い始めたの?」
「うん……あたし、昔っからこんなのばっかりなのよね。相手に流されるままになってるっていうか」
ナツはそう言って苦笑した。