ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「流されるあたしが悪いのは分かってるけど……なんか、ここまでくると男運ないのかなーって思っちゃう」
ナツは笑ってはいるけど、何だか、寂しそうだった。
俺は、ゆっくりとナツに手を伸ばして、ナツの体を引き寄せた。
そして、腕の中にナツを収めて、ぎゅうっと抱き締めた。
「え……」
腕の中で、ナツは驚いたような声をあげた。
「旬……どうしたの? いきなり……」
「ぎゅーってしたくなったから。ナツのこと」
どうしてかと聞かれたら、ナツのことが愛しくなったから。
それだけだった。
愛しいって言葉の意味が、初めてちゃんと分かった気がする。
今、俺の腕の中にいるナツみたいに、温かくて、柔らかくて、優しくて、とても心地いいものなんだ。
俺達の出会い方も、普通じゃない。付き合い方だって俺の方から言って、ナツは流されただけだったのかもしれない。
でも、俺はそれを後悔させないよ。
絶対にナツを悲しませたりなんかしない。
俺は抱き締めていた腕を緩めて、ナツの髪を触った。
サラサラしてて、気持ちいい。
「ふふっ……くすぐったいよ」
ナツの首に指が触れた途端、ナツは首を縮めて笑った。
「ナツ、首弱い?」
「旬の触り方がくすぐったいの」
ナツが俺を見上げた。
思った以上にナツの顔が俺の顔の近くにあった。
俺が頬に触れる、ナツは恥ずかしそうに目を伏せた。
「ナツ……好きだよ」
そして、俺達は、恋人になって初めてのキスをした。