ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「じゃあ、お湯溜めるから……溜まったら、旬、先に入ってね」

 ナツは俺の腕の中からするりと抜け、立ち上がりながら言った。


「え!? 一緒に入んねぇの?」

 俺は思わず声をあげてしまった。


 ナツは目をぱちくりさせ、顔を少し赤くしている。


「入んないよ。片付け、先にやっちゃいたいし」

 ナツはテーブルの方に目をやりながら言った。


「えー。一緒に入ろーよ。片付けなんか後でいいじゃん」

 俺はナツの手を握って言った。

 せっかく楽しみにしてたのに、おあずけなんてあんまりだ。


「ダーメ。お風呂入った後はゆっくりしたいじゃない」


「じゃあ、片付け終わってから一緒に入ろ? 俺も手伝うから」


「それだと時間かかるでしょ? ……旬、一人じゃお風呂に入れないの?」


「入れるけど…」


 ナツの言い方はずるい。

 そんな風に言われて、入れないなんていったら、彼氏としてかっこ悪い。


 ただでさえ、たまに年下扱いされてるのに……


「じゃあ、先に入っておいてね」

 ナツはそう言って、風呂場の方へと行ってしまった。




 あーあ……かなり期待してたのに。


 脱衣所で服を脱ぎながら、俺はまだ少し納得できないでいた。


 しかも、ナツの態度って結構あっさりしてないか?

 チューしてる時はかなり激しかったのに……


 ん……? 待てよ?


(お風呂入った後はゆっくりしたいじゃない)


 あれって……ゆっくり『したい』って……


 俺の頭の中に、妄想ビジョンが溢れ出す……


 そういうことか。

 そっか。ナツもやっぱりそうだよな……


 俺の中の勝手な妄想で、俺は納得できた。


 まあ、後でゆっくり楽しめると思えばな!


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