美加、時空を越えて
待ちに待った火曜日が来た。
ブティックでの美加は、そわそわして落ち着かない。
色々な服を脱いだり着たりしている。
「この世界は、不便だわ。
タッチパネルで選べないからいちいち着てみないと、似合うのか似合わないのかが分からないわ」

2700年はタッチパネルで選んだ服に手を触れるだけで、その服を身に着けた自分を見る事が出来た。

瞳「でも美加さん、楽しそうですよ」

美加「これがいいわ」

美加は淡いピンクのブラウスと黒のスカ-トを身に着けると、瞳の前に立った。
その格好は、白い肌の美加にとても良く似合っていた。
「ねえ、似合う?」
童顔の美加は20歳くらいにしか見えない。
目を少し見開くと鏡の前で美加は、にっこりと微笑んだ。

約束の待ち合わせ場所は、食べ放題の焼肉屋だった。
(守とのデ-トは、食べ放題がほとんどだったな。
私があまり食べないから元が取れないとか言っていたわ)

買い物を済ませると美加は、待ち合わせ場所に急いだ。
守はもう来ていた。
美加の頭が、何かを考えるより早く身体が燃える。
心が閃光する。
爆弾が点火するような速度で、他のことは何も考えられなくなる。
魂が踊り狂っている狭間を冷静な精神が見つけると心は現状に立ち返るように身体に言った。
苦しくなった息を整える。
相変わらず几帳面な守。
時間を破ったことはないし、部屋も相変わらず、きちんと整理整頓されてるんだろうな)

美加「ごめんなさい。私、遅れたかしら」
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