美加、時空を越えて
瞳が車のイグニションキ-を回した。
エンジンを軽くふかせると瞳が聞いてきた。

「美加さん、こんなタイミングで聞くのも
どうかとは思いますが、吉田と言う学者をご存知ですか?」

「学者さんの事ね」

「ああ、やっぱり、お知り合いなんですね」

「貴方も学者さんの知り合い?」

「私の先生です。尊敬しています。今でも。
先生は私の恩師です。
先生はとても厳しくて優しい先生でした。
実の父以上のものを感じています。
先生の奥さんが亡くなられた時は、傍目で見ていても辛いものがありました」

いつも言葉を慎重に選ぶ瞳が思い切ったように美加に聞く。

「ところで美加さんは 美加ちゃんに入れ替わろうとは思いませんでしたか?
私の方が守さんにふさわしいって」
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