美加、時空を越えて
これでいい。

これで美加ちゃんと守は無事だ。

私にはもう思い残すことは何もない。

美加の身体を暖かくて柔らかな風が包み込む。
風に包まれたまま下へ下へと落ちる。
美加を包み込む空気が、波を生む。
身体が海の海面と接触した。
空気と風によって生まれた波が美加の身体を包み込む準備はもう整った。
海の波が水しぶきに変わる。
波が美加の身体を包み込む。

美加は、守を、そして自分自身を深く愛している事に気が付いた。
内的な真実と直面する。
美加にとって、美加の身体は消え去り、形はもはやない。
そして、形なきものが現れる。……魂。

深い淵に直面する。
その淵に落ちていくような感覚。
美加の身体が消え去るクライマックスを感じる。
絶頂の瞬間に形ないものに入っていく。



美加の身体が 海の水と混じり合う。
深く深く沈んでいく。
もう美加の身体には意識がない。
美加の魂は、無数の光に囲まれている事を感じる。
ひときわ大きく光輝く魂。
美加のお父さんとお母さんの魂だ。
美加の魂は、2つの魂に再び逢う事が出来た喜びを表現すると、守の魂を捜した。
美加の魂は、崖の上の守の魂と美加の分身の魂を確認すると、安心した。
(あなた達には、生きていて欲しい……)
美加の魂は無数の魂と共に空へ上っていき……



……そして消えた。
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