美加、時空を越えて
美加が言う。
「お待ちください。
私にその物達を預からせてはいただけないでしょうか」

武将が目を見開きながら、美加の顔に自分の顔を近付ける。
美加の顔をじっと見据えながら 低い声で聞く。
「どこぞに逃がしてやるつもりではあるまいな」
「そのようなことはございません」

武将、暫く考える。

「まあ、よいわ。
好きにするがいい」

「皆のもの、すぐにたつ。
用意いたせぃ」

武将はそう言うと足早にその場を立ち去っていった。

美加は、顔をあげないでそのままでいる。
(あの人を私が過去に生きたとは信じられない、というより信じたくない。

こんなに幼くていたいけな子供たちを殺そうと、目がぎらぎらしていた)
  
(冷たくて残酷な心しか感じない)

美加は 兵士達が去るのを見送った。
誰もいなくなったのを確認すると、兵士達の亡骸を葬った。

子供たちの手を引きながら 焼けた家や田畑を見て回った。
畦道を休まず進んだ。 

……。ある寺の前で立ち止まった。
その寺に子供たちを預けると 第3の扉へ向かった。

疲れているが、一刻も早くこの場を離れたかった。
前にここに来たときの事が思い出された。
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