美加、時空を越えて
「落ち着いて。涙を拭いて」
瞳は、2人にハンカチを渡しながら崖から離れる。
2人が瞳の後を少し歩く。


瞳がまだ泣きじゃくっている島美加の身体を抱き、背中を軽くたたく。
しばらくすると、島美加が落ち着いたようだ。

「落ち着いたようね。2人とも目を閉じて」
言われるまま2人が目を閉じた。
瞳が右手で島美加の額に手を当てる。
左手は守の額に。
しばらくそのままでいて、ゆっくりと瞳が額から手を離す。



「私、どうしてここに?」
「ハンカチを返してくれるかしら」
「どうして僕の手にハンカチが?」
「2人とも空が曇ってきたわ。
雨が降る前に帰った方がいいんじゃないかしら」

島美加が戸惑いながら瞳にハンカチを返す。
「ありがとうございます」
「私のほうこそありがとう」
島美加がありがとうって言われるような事私したっけ?と思いながら瞳の方を見る。

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