美加、時空を越えて
わしは、城の跡継ぎとして生まれた。
家来の中で友達と呼べる者ができ、毎日が 楽しく幸せだった。
父じゃと母じゃは優しく、わしは跡継ぎとして大事に育てられた。
家来達と 剣の稽古や駒を使ってよく遊んだ。

あの頃だけだ。幸せだったのは……。

まだ6歳くらいの頃だった。
戦によりわしは敵軍につかまり、
母じゃは、わしをかばい殺された。

わしを連れて一緒に逃げた兵士も捕まり殺された。
わしの目の前で……。

わしは恐ろしさと憎しみで震えた。
わしと同じ年の家来と私だけが、捕虜として生きた。

敵軍の城の中で、わしは何度も命を狙われた。
心を許す事が出来たのは 同じ年の家来だけだった。
その家来もわしが暗殺されそうになった時、わしをかばって死んだ。

わしの心の中には、憎しみと悲しみが渦巻いた。

味方の軍が勝ちわしはわしの父じゃの城へ戻った。
しかし、父じゃは戦で忙しく、継母は自分の子供の方が大事だった。
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