美加、時空を越えて
今度は重力をまるっきり感じなくなった。
漂うような感覚。

不意に上に持ち上げられ 身体が横になった。
なぜかとてもいい気分になり、(このままここにいたい)と思うようになった。

素晴らしい時間だった。
花色の絨毯から色とりどりの花弁が舞い上がっている。
清風にあおられ天へと登る。
美加の視線はぼんやりと漂い始めた。
そよ風が頬をふんわり、くすぐる。
蒼天へと駆け上がる花吹雪。
一体何色あるのだろうか?
この花吹雪は……。
柔らかな芳香が美加の廻りを柔らかく包み込む。
光の妖精達が戯れているように見える。
雪の結晶は、回りながら踊り狂う。


2700年もすばらしいが 比較にならない。

自分を忘れた。

もう自我というものはなかった。
神に抱かれているようだ。これは夢なんだろうか?
それとも天国?
天国というものがあるとしたら、こういう所なんだろう。
何もかも忘れ、非常にうきうきとした楽しい気分だ。
踊りだしたいような……。何もかもが楽しくてたまらなかった。

思わず笑い出した。
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