美加、時空を越えて
灰色がかった白い雲が広がる砂漠の中を 2人の男女が歩いている。

時折 サラサラサラ……。

砂の動く音が聞こえる。

他には何も聞こえない。

靴音さえも……。

2人の他には誰もいない。


後ろから男性が女性に声をかける。

低く、海の底から波打つような魅力的な声。

「美加、どうしても行くのか?」

「今日行かなければ時空の扉が開くのを、又、100年待たなければならないわ」


「何度も言ってきた事だが この世界のどこが不服なんだ?」

「どこにも不服も不満もないわ。
でも……。守がいないのよ……」

「似たやつを見つければいい」

「今日まで何人もの人と出逢ってきたわ。
でも守の代わりはどこにもいないわ
それに……。守の笑顔を奪ったのは、私なのよ」



前を歩く女性の名前は、美加。
亜麻色のつやつやした髪と、茶色がかった大きな澄んだ瞳が美しい。
薔薇の花びらのような透き通った頬をしている。


後ろを歩く男性の名前が光。
モデルのような整った顔立ちだ。
玉虫色のジャケットを着ている。
光線の具合で
緑色にも紫色にも見える。


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