美加、時空を越えて
朝になった。

美加がぼんやりと窓から外を眺めている。
まだ5時過ぎの外はやはりまだ暗い。
揺れながら走って来る自転車が見える。
片足で自転車を支えながら、新聞を郵便受けに入れて行く。
山ほど新聞が詰まった籠が揺れて
自転車はふらふらだ。
高校生くらいに見える自転車に乗った子は、豪快にこいで朝もやの中を進んで行った。

光が美加の傍にやって来た。
「何を見てるの?」

「ほら、あの子。
学生かしら。
多分バイトね。
守も『新聞配達のバイトをしていた事がある』って言っていたから、あんななのかなぁと思って」

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