パラドックスガール
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うつ伏せのまま首だけを二人のほうに向け、あたしは答える。


「大好きだけど嫌い。」


「…や、それよくわかんないから。」


凛子が座りながら首を傾げた。


「そういえば茗子ちゃん、お兄さんの話するとき結構適当だよね。」


珠希も凛子の横に座り、そばにあったピンクのクッションを抱きしめて言う。
そんな二人を見て、ちょっと悩んで、顔をベッドに突っ伏した。


「…だってあたしがこんな性格なの、お兄ちゃんのせいだし。」


あたしは呟くように言った。
そして起き上がり、ベッドの上であぐらをかく。
玲央がいつも「パンツ見えるでしょ!」ってお母さんのごとく怒るけど、今あいつはいないからいい。
あたしは大きなため息をついた。


「あいつはね、あんなに見目麗しくてもね、それは表面的でしかないのよ。
中身はすっごい意地悪。すっごい俺様。
あ、ちなみに名前、銀蔵ね。」


お兄ちゃんの話題は嫌いだ。
こうやって熱が入ってしまうから。
止まらなくなる。



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