パラドックスガール
.





「あたしが生まれた時、お兄ちゃんは11歳でね。
小さい頃から俺様で、口が悪くて、それなのに頭いいし格好いいから人気者でモテモテなのよ。」


「ああ…。」


「確かに格好いいよね…。」


二人がうんうんと頷く。
俺様と口が悪いのはどうでもいいのか?と思ったけど、話を続けることにした。


「そこで、負けず嫌いなあたしはお兄ちゃんに対抗しようとするわけよ。
もちろん11歳も差があるんだから勝てるわけもないんだけど。
で、それ続けてて、ずっとお兄ちゃん相手にしてて、気づいたらトゲトゲした口が達者なあたし完成してたのさ。
わかった?」


一気に言ったら喉が痛くなった。
テーブルの上のコップを一つ持ち、中身を口の中に流し込んだ。
ごくりと喉を鳴らしながら飲んで二人に目をやると、二人はポカーンと停止中。

この顔、写メで撮っちゃだめかな。



.

< 15 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop