パラドックスガール
.




ドアが開く音と共に部屋に入ってきたのは、玲央。
いつもかけているはずの眼鏡がない。
眼鏡男子は素敵ってみんなよく言うけど、玲央は違うらしい。
眼鏡ないほうが、男らしさ5割アップ。


「玲央、眼鏡は?」


「銀が眼鏡貸してっていうから貸したら返してくれなくて。
コンタクト持ってたから今入れてたの。
久々だから時間かかっちゃった。」


「あー…。」


人をからかって遊ぶのが生きがいのお兄ちゃんなら、十分に考えられる。
きっと、視力の落ちた玲央がドアにでもぶつかるのを期待してたんだろう。


「玲央ごめんね。」


「いいよ、いつものことだし。」


日常的行為にまで定着してしまったお兄ちゃんのいたずらに、あたしはかなり申し訳なくなった。



.
< 18 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop