パラドックスガール

.




騒がれたり注目されるのがあまり好きでないあたしにとって、この状況はかなりの苦痛だ。
長年つきあってきてそのことを知ってるはずの玲央は、あたしの言葉を聞いて「んー」とか言って悩んでみせていたと思ったら、ニコッと笑った。


「じゃあ、茗子が僕のものになったらやめてあげる。」


「ほざいてろ。」


楽しそうな玲央に一息で答えた。
こうやって綺麗にかわされる。
あたしがイエスと言わないのをわかっていてこういう提案をするのだから、タチが悪い。


「じゃあ我慢だね。」


にっこり笑ってそう言う玲央。
憎ったらしい。


「…今日掃除あるから少し遅くなるよ。」


「待ってる。そのあと付き合ってよ。」


「ん。」


短く返事なのかわからない返事をすると、玲央は嬉しそうに笑い、手を振って教室を出ていった。



.