パラドックスガール
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「で、今日も王子様と帰るってわけね。」


「王子様って…。楽器屋行くんだってさ。」


「楽器屋さんで何買うの?」


「んー…ピックかギターの弦か…あ、メトロノーム壊れたって言ってたからそれかも。」


ポッキーを食べ終わったら、今度はビスケットを渡された。
次は手で受け取る。


「音楽できるんだー。
そう言えば茗子もやってるんだっけ?ほら、えっと…。」


「ゴールドシュミット。」


「そうそれ。」


口をモグモグしながら凛子に助け舟を出してあげると、凛子は携帯の先端部分をあたしに向けて、思い出した、と少し声を大きくした。


「あたしはただ音鳴らせるだけだよ。
ゴールドシュミットはお兄ちゃんのお下がり。」


「…お兄さんって本当になんでもできるのね。」


「うん、自慢のお兄ちゃんだね。」


そう受け答えて、あたしは自分でお菓子に手を伸ばした。




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