パラドックスガール
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「……痛…い…」


あたしはうめきながら体を起こした。
自転車が倒れ、そのまま草むらに落ちたらしい。
そこまで痛くないなと手の平を確認していると、


「…え、玲央?!」


自分の下にいる玲央に気がついた。
どうやら危機一髪で、あたしのクッションになったらしい。
だからそんなに痛くないのか。


「じゃなくて、玲央、大丈夫?」


玲央の頬をパチパチと叩く。
またもや反応無し。
少しイラつく。


「玲央っ!」


大きな声で名前を呼びながら思いきり頬をひっぱたいてやった。
「いてっ」とか言って、体をよじりながらうめく玲央。
やっと反応した。



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