パラドックスガール
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「玲央ってさー、俺とか銀とかとめーちゃんの扱い違うよね。」


「うん。」


「…そこは否定してよ。
せめて俺は違うとかさー」


「だって兄さんより茗子のほうが大事だし。」


「そうなんだよなー。兄弟より女だもんなー。
てかさ、お前らそんなに仲良かったっけ。」


「全然。」


「じゃあなんで―って…雨?」


窓の外に目をやると、確かに雨が降っていた。


「うわー今日降水確率10%だったのに。」


「兄さん、傘ある?」


「残念ながらないんだなー。
なに、持ってきてくれるの?」


「やだよ。じゃ、茗子ん家行くから。」


「え、だから雨」


「雨なんかが茗子に勝てるはずないでしょ。」


雨が降ったって、傘がなくったって、優先するべきなのはいつだって彼女だ。



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