パラドックスガール
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「乃村ー。」
「はーい。」
「羽田野ー。」
しーん……
「羽田野?羽田野茗子(ハタノ メイコ)はいないのか?」
出欠をとっていた教師が名簿片手に教室を見渡す。
窓側一番後ろの席が空席。
「……羽田野は休みだな。」
「はいはーい、いますいまーすっ!」
先生が名簿に欠席と記そうとした瞬間、教室の前の戸が開いた。
「…羽田野。」
「おはよーございますっ」
ジトっつと見つめ、呆れたようにあたしの名前を呼ぶ先生に、少し上がった息を整えながらにっこり笑ってみせる。
クラスメイト全員があたしに注目した。
「お前最近遅刻多いぞ。」
「文句なら兄に言ってください。」
兄もこの学校の卒業生だから先生も知っているだろう。
先生が少し嫌そうな顔をしたので、またニコッと笑って見せ、席に向かう。
間違ってはいない。全部バイクで送ってくれなかった兄のせいだ。
隣の席の乃村凛子(ノムラ リンコ)に小声で「おはよ」と言われたので、それに手をひらひらさせることで応えながら席についた。
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「乃村ー。」
「はーい。」
「羽田野ー。」
しーん……
「羽田野?羽田野茗子(ハタノ メイコ)はいないのか?」
出欠をとっていた教師が名簿片手に教室を見渡す。
窓側一番後ろの席が空席。
「……羽田野は休みだな。」
「はいはーい、いますいまーすっ!」
先生が名簿に欠席と記そうとした瞬間、教室の前の戸が開いた。
「…羽田野。」
「おはよーございますっ」
ジトっつと見つめ、呆れたようにあたしの名前を呼ぶ先生に、少し上がった息を整えながらにっこり笑ってみせる。
クラスメイト全員があたしに注目した。
「お前最近遅刻多いぞ。」
「文句なら兄に言ってください。」
兄もこの学校の卒業生だから先生も知っているだろう。
先生が少し嫌そうな顔をしたので、またニコッと笑って見せ、席に向かう。
間違ってはいない。全部バイクで送ってくれなかった兄のせいだ。
隣の席の乃村凛子(ノムラ リンコ)に小声で「おはよ」と言われたので、それに手をひらひらさせることで応えながら席についた。
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