パラドックスガール
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「茗子?」


「!」


名前を呼ばれ、ビクリと肩が震えた。
後方から聞こえる、玲央の声。


「待たせてごめん、帰ろ」


「…」


「…茗子?」


返事をしないあたしを不思議に思ったのか、再度あたしの名前を呼んだ。
でも答えない。
答えられない。

今何か言葉にしたら、泣きそうなのがバレる。



「どうしたの」


「っ、や」


抵抗の言葉も虚しく、玲央に肩をつかまれグルリと回された。
目の前には玲央。
あたしを見て驚いた顔をした。


「―っ!」


いてもたってもいられなくなって、あたしは玲央の手を払って逃げた。


「え、ちょ、茗子?!」


一瞬遅れて聞こえた玲央の声。
誰が止まるか。
あたしはいつも以上に太股を使って走った。



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