パラドックスガール
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階段裏から出ると、明るさに少しだけ目がくらんだ。
茗子まだいるかな…とか考える。


「…ていうか、盗み聞きはやめなよ圭吾(ケイゴ)。」


歩きながら、壁にへばりついていた茶色い頭に話しかけた。


「あ、バレてた?」


茶色い頭の、やけに背が高いヒョロヒョロしたやつが、やけにノロノロした口調で言った。


「バレバレ。毎回毎回何してるの。」


「何って、毒林檎姫の護衛?」


「いらないから。」


毎回こんな感じの一応僕の親友、唐沢圭吾(カラサワ ケイゴ)。
ニヘラと笑うネコ毛のこいつは、何故か僕を「姫」と呼ぶ。


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