穢れなき雪の下で
『イチローがわざわざクリスマスの日に彼女とデートなんてするわけないじゃん。
 寒いの嫌いなんだから。
 家でゲームしてるわよ、きっと』

あっさりきっぱり、なんでもない顔で真実を口にするのはきっと、ミユだけだろうな、と。

ここしばらく逢ってない友人、藤巻美優の顔が頭に浮かんだ。


俺のことなんて、何も知らないくせに。
興味のかけらもないくせに。

何故か時折、不意にわかったような口を利く。


その適当な言葉が、大抵当たっているのがあの子のすごいところであり、大学を卒業してもう何年も経つのに、いまだに友達づきあいを続けている理由の一つでもあった。
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