君と描くparadise
「寒っ。」

―――もう、冬。かぁ……

私は、宮内 瑠歌。高校2年生。

学校は、瑠璃川学園っていう、
坊ちゃん嬢ちゃんとか、芸能人がたくさん通う金持ち学校。

だからといって、私の家は、金持ちじゃないし、私が芸能人って訳でもない。

ただ、親の¨見栄¨によって、
無理やり通わされている。

………ただ、それだけ。

私は、家族一、出来の悪い子供で、
これまでの人生、『誉められる』
という経験がない。

………あるのは、

成績表や、コンクールの賞を見せて、
がっかりされた経験があるくらいだ。

それだけならまだ良い。
1番厄介なのは、妹たち。
次女の有華は、成績優秀、三女の実唯は、最年少、天才ヴァイオリニストときた。
彼女たちは、超名門校、姫野原学園に
通っている。
特待生で。

当然、親は出来の悪い私と、出来の良い 妹を比べるわけで。
最近は、それに加え、家に居てほしくなさそうな顔をしている。

まぁ、親といっても、母親で、
父親は単身赴任中で、この事には
ノータッチ。
公平に見てくれていると、信じたい。

何か、私にも才能があれば……

「おはよー!」

「あぁ、おはよ、由里子。」

今話しかけてきたのは、賀川由里子。
賀川グループの令嬢だけど、全然気取らない、気さくな子。
幼なじみで、私の良き理解者。

「寒いねー。」

「うん。てか、今日、数学テストじゃん。」

「えっ、何それ?!アタシ、知らない。」

「……さては、昨日寝てた?」

「………………テへッ☆」

テへッ☆じゃないし。

「あなた、どーいう神経してんの。」

あの先生で寝るって勇気あるわ。

「……瑠歌ちゃん。^ー^」

「……なに。」

「……数学、教えて☆」
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