カテキョにぞっこん!
せっかく1時間も前からつけておいたエアコンも、開けっ放しのドアのせいで効きが悪い。
階段の方からは、生温い空気がどんどん流れて来るし……
なんでわざわざ開けておくんだろ
べつにいいじゃん、汗かくじゃん!
それでも陽サマは、そんなことを気にすることもなく、相変わらず涼しげな顔で私の隣に座っていた。
部屋についてのコメントも、
まったく無し。
陽サマは母が用意した小さな丸椅子に軽く腰をかけながら、私の夏休みの課題をじっくりと眺めて。
それから、メガネにかかる少し長めの前髪を、指先でいじるような仕草をする。
ポカンと口を開けないよう母には言われていたけど、
やっぱり気がつくと、陽サマを見ている時の私の口は、適度な具合に開いていた。
目がきれ〜い、肌もきれ〜い
写真撮りたぁ〜い……
「教科書を見せてください」
「あっ!は、はいっ!」
なにか一言話しかけられるだけで、私は全身で反応してしまう。
棒読みのような、やる気のないような……素っ気ないどころか、私に向かって言ってるのかさえわからないような話し方なのに、
私はその陽サマの声だけで、天にも昇るほど高揚して
ドキドキ、クラクラ……
ときめきまくってしまうのだ。