カテキョにぞっこん!

玄関口に出た陽サマは、ドアを開けた後しばらく立ち止まった。



忘れ物でもしたのかな。



そう思って
私がじっと見ていると……




「……僕は今19です。
由利さんとは4つ離れてます」




少し振り向いたと思ったら
それだけを言い残して歩きだした。


そうか、
もう勉強の時間じゃないしね。





っていうか!
えっ、私が15なの知ってるの?
あ、そうか。申込書に生年月日書いてあるし。で、でも!それをちゃんと覚えてるんだ!すごい!私の名前も誕生日も知ってる!すごい!




とにかく勉強以外のほとんどのことに無関心に見える陽サマだから。

その堅い頭の中に、少しでも自分のことが入ってるのが嬉しかった。




これからもっと、
私のこと知ってくれるといいなぁ。




「せんせ~い!またよろしくおねがいしまぁ~す!」




もう見えなくなりそうな陽サマの背中に、私は飛び跳ねて大声で叫んだ。




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