カテキョにぞっこん!


ずるい~
陽サマはずるい~




結局私に合わせたスピードで
隣を歩く陽サマ。


先に突き放しておいて後から優しくするなんて、ときめかない方が無理だ。




私はまた、
こっそりと陽サマを見上げた。


こんなに、近寄ったらダメだよオーラをだしてるくせに

陽サマはドキドキさせるのが上手いんだもん……








公園に着くと、陽サマは一番大きな木の下にあるベンチに座った。

少し様子を伺う私に


「座らないんですか」



と、自分の隣を指差す。


私はベンチの端の方に座った。二人の間の異様な距離に、陽サマは不思議顔。




だって……とても自分からなんて近寄れませんからっ!




陽サマは少しメガネの位置を整えて、背もたれに軽く寄りかかった。

私にはそれほど
気を抜く余裕もなくて……
肩に力をいれたまま直立不動。




「由利さんは、どこの高校を目指しているんですか」



早速調査開始かぁ……
もっと身近な話題から入るもんでしょ、普通。


まぁ私は受験生だから、その話題が一番身近と言われればそうだけど。



「私は……
近くのT高校でいいかなと」



「で?」



え?



「T高校で、ってどういうことですか。目標はないんですか」




とくにありませんと返したら、

怒られるのでしょうか……


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