カテキョにぞっこん!


「まだあまり決めてないっていうか……高校へ行ってから考えようと思ってたから、とりあえず近くの普通科の高校に入れればと……
すみません(汗)」



セミは頭の上でとても騒がしかった。


陽サマは、木漏れ日に向かって少し顔をあげて

それから

いつもとはちょっと違う柔らかい表情で、私の方を見た。




ブラウンの髪は、太陽のせいでもっと明るくなって

メガネの奥のきれいな目は、逸らせないくらいまっすぐ……



今日1日で、2回も目が合ってしまいました……

そんな風に見られたら、息もできませぇん……




「大丈夫です」



陽サマはそう言った。



「うっ…、何がですか」


「周りに言われるからと、慌てて決める必要はないと僕は思ってます。
自分のペースで目標を見つけることは、悪いことではありません」




陽サマは、変わらず素っ気ない話し方をしてるけど

気持ちは
いい加減なんかじゃないようで。




「頑張ってください。しばらくですが、僕ができることは手伝います」




私には陽サマの存在そのものが、
眩し過ぎるのです……



「はい……ありがとうございます」




無意識に溜め息がでた。

その原因を、私は自分でなんとなくわかっていた。



< 22 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop