カテキョにぞっこん!
「まだあまり決めてないっていうか……高校へ行ってから考えようと思ってたから、とりあえず近くの普通科の高校に入れればと……
すみません(汗)」
セミは頭の上でとても騒がしかった。
陽サマは、木漏れ日に向かって少し顔をあげて
それから
いつもとはちょっと違う柔らかい表情で、私の方を見た。
ブラウンの髪は、太陽のせいでもっと明るくなって
メガネの奥のきれいな目は、逸らせないくらいまっすぐ……
今日1日で、2回も目が合ってしまいました……
そんな風に見られたら、息もできませぇん……
「大丈夫です」
陽サマはそう言った。
「うっ…、何がですか」
「周りに言われるからと、慌てて決める必要はないと僕は思ってます。
自分のペースで目標を見つけることは、悪いことではありません」
陽サマは、変わらず素っ気ない話し方をしてるけど
気持ちは
いい加減なんかじゃないようで。
「頑張ってください。しばらくですが、僕ができることは手伝います」
私には陽サマの存在そのものが、
眩し過ぎるのです……
「はい……ありがとうございます」
無意識に溜め息がでた。
その原因を、私は自分でなんとなくわかっていた。