カテキョにぞっこん!


それから陽サマは、
私の苦手科目や、今までの勉強方法について聞いてきた。


家庭教師が始まって今日で7回目。

そろそろちゃんとした計画が必要なんだろう。






「では今度は僕が答えますけど。何か質問があればどうぞ」


さっきまでとは少し楽な雰囲気で、陽サマは私に言葉を促してきた。



たぶんいろんなことを聞きたかった私だけど、それが聞いていいことなのかどうかを迷っていて。

気にしないように心がけてた内容を避けて、無難な質問を私は選んだ。




「先生は、
今何人の生徒を教えてるんですか」



「由利さんを合わせて3人です」




普通の答え。でも、私が聞きたいのはそれじゃあないんだなぁ。



私の視線に気付いたのか、陽サマがさっきの答えに付け加えた。



「あとの2人は男ですよ」



心を完全に読まれてる気がして
なんとなく落ち込む。



「そーですか……」





私がどんな気持ちで陽サマを見てるかなんて、とっくにわかってるんだよね。

じゃあ、別に聞いてもいいのかな。




私は、自分が気にすることじゃない、関係ないと思いながら、本当は一番気になってたことを陽サマに聞いた。





今以上なんて願わない。


このままでいいって、

決めていたくせに……








「先生は……


付き合ってる彼女とか

いるんですか」






夏の風に、
大きな木は強く揺らされた。




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