カテキョにぞっこん!

陽サマは、
急にぎこちなくなって。

私とは反対の方向に、顔を向けた。





丘の一番上にある展望台のスピーカーから空気音が鳴り出して、

その後すぐに、チャイムが鳴る。



お昼の合図。


陽サマとの時間が、終わる合図だ。





いつもはそれほど気にならないのに、今日はすごく胸にドクン!と響いて……




私に見せないように隠す陽サマの表情が、さらにその上からかぶさるように


私の体を揺らした……。





「はい……います」




隠したって、赤くなった耳は髪の隙間から見えるんだ。




「由利さんはいないんですか」




振り返った陽サマの、真面目なのに照れるような顔は


なぜか私に
悲しい気持ちを溢れさせて




「いたこと……ないです」




陽サマにこんな表情をさせられる人がいるのかと思ったら

なんだかすごく、切なくて……





そのくせ私の心は、
そんな照れる陽サマに反応して


ドキドキしまくって


ときめきまくって。






神様も陽サマもひどいよ……



好きになってしまえば、片想いは確実だとわかった瞬間に





私を恋に落とすんだもん。



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