カテキョにぞっこん!
離れる
玄関先で見送る陽サマは、やっぱりちょっと困っていた。
星が出る空の下を、いつもと変わらないスピードでまっすぐ歩いて行くのに、視線の動きが少し違う。
クールな表情していても、言葉には出さなくても、
私はずっと、陽サマのことにばかり集中していたからわかるんだ。
ごめんなさい、陽サマ。
私がもっと、聞き分けのいい子だったら良かったね……
「結局好きになってんじゃぁ〜ん」
香奈の呆れ顔には少し腹が立つけど、話す場所はここにしかない。
「でも!すぐに片想いってことがわかっちゃったから」
「え!何なに?彼女とかいたの?」
香奈の威勢はいいけど、私的にはかなりグサッと来る……
いつもの駅前。今日は気分転換に、街の中をぶらぶら歩いていた。
最近はずっと陽サマのことで頭がいっぱいで。手が届かないことなんてわかっていたのに、冷たく当たってしまう自分にまたイライラして……
本当に子供。
「いいじゃんいいじゃん、好きって言っちゃえば。何か変わるかもよぉ〜?」
さすがにそこまで何も考えていないような子にはなりたくない(汗)
陽サマを、今よりももっと困らせるのは確実だし。
わかっているのに、わざわざフラれるような言葉はもらいたくない。
でも……たしかに言ってみないとわからないかな。
もしかしたら……
ちょっとだけドキドキしてきた私。
そんな無謀な期待ができるのも、恋愛経験がないからこそかもしれないな。