カテキョにぞっこん!


今日初めて
ちゃんと私を見た陽サマ。




「別れ話でしたから」




そう言ってから、また視線をノートに落とした。




別れ話……?




「僕が何を考えてるか分からなくて不安になるそうです。
言葉で言ってほしいと言われても、彼女がどんな言葉を望んでるのか……想像はついても自信がありません。
……そういうことは苦手です。冷たい人だと言われてしまいました」




陽サマは淡々と話をして、
それからまた学習計画の話を続けようとした。




「時間がなくなります。さっきの続きをやりましょう。


……由利さん?」






でも私は
なんだかとても悲しくて……



だって違うから。


陽サマは
冷たい人なんかじゃなくて。


何も言わないだけで、本当はすごく優しい人で。


態度もあまり変わらないから、分かりにくいんだけど

ほんとにほんとに
すごく素敵な人なんだもん。






私の目から
どんどん涙が落ちて来て……


外の雨になんか
負けないくらい止まらなくて……







陽サマは
私の頭にポンッと手をのせた。



暖かい手……






「……キミがフラれたわけじゃないから」






そう言って私を覗き込んで

見たこともないような優しい顔を見せてくれるから……




私のこの気持ちを止めることなんて

もうできないよ。





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