カテキョにぞっこん!
伝える

ほんの一瞬で、心音の強さと大きさは経験したことがない場所まで到達した。

男の人に手を握られるなんて、
初めてだったから……




暗闇の中で白い光が浮かび上がる。

陽サマが、ポケットから出した携帯電話を開いたのだ。



白いシンプルな機種。
そこからこぼれた光で少しずつ目が慣れて、

私は自分の手と繋がる陽サマの手を、ぼんやりと見ることができた。



今ここにあるのが、本当に自分の手なのかと疑ってしまうくらいドキドキして。




雷なんて忘れてしまうくらい……

闇の中にいることなんて
全然感じないくらい……




止められない感情が溢れた。






視界に慣れたはずの目は、込み上げてくる想いでまた開けていられなくなって。

さっきよりもずっと強く、まぶたを閉じてしまう私。




「先生……、……き」




「畑倉です。はい、そうなんです。すみません。……はい、代替えの日は次回の時にでも決めさせていただきたいと思ってます。はい、こちらこそよろしくおねがいします」



いつものまじめな陽サマ。

次の予定に入ってた人の所へ、変更の電話をしたみたいだった。




私がこんなにドキドキして
……立ってることにも精一杯で。


呟き程度の声かもしれないけど、ずっと抱えてた想いを思いきって告げたのに……




「ご両親が帰るまでここにいます」




また合わせようともしない視線で


どうして聞こえない振りをするの?




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