カテキョにぞっこん!
「本当に大丈夫ですか」
「はい、病院からは近いですから。もうそろそろ到着する頃だと思います」
玄関先で見送る陽サマ。
最初に見送ったあの日は、もっと大人に見えたのに
今はちょっとだけ、近く感じる。
「すみません……傘……」
「あーっ、ハハハッ!そういえば壊れてたんだ」
さっきのアンバランスな陽サマを思い出して、また笑ってしまった私。陽サマはそれを見て……
「失礼にならないよう、礼儀は覚えた方がいいかもしれません」
少し照れながら、
ちょっと下を見て呟く。
そんな様子にも、
やっぱり私はときめいて……
「先生、私の傘持って行っていいよ」
「うっ……でも……」
差し出されたピンクの傘に、困り顔の陽サマ。可愛くてたまんない!
「願掛けなの!
先生がそれ持っててくれる間、私はずっと勉強頑張れる。高校受験もきっと上手く行くから
……合格したら、返しにきてほしいです」
ねぇ、大人の陽サマならわかってくれるでしょ。
私がどんな気持ちで、この言葉を言ってるか……
来年の春、
ちゃんと高校に受かったら
今より少しキレイになった私に
もう一度
会いに来てほしいんです……