カテキョにぞっこん!
「陽先生!またカテキョお願いしたいです!」
「え……まぁ、大丈夫ですけど」
止まらないなら、思いきり恋に落ちてしまえばいい。
落ちるとこまで落ちて……
「ちょっと由利。今あきらめるって言ったよね」
「あきらめることをあきらめたの!」
「はぁ?どういう意味よ、それ」
「ぞっこん!ってことよっ!」
私の中の全部を
陽でいっぱいにしちゃうんだから。
「陽先生のくれたお守りの効き目もまだわからないから。またよろしくお願いしますね!」
「……はい?合格したんですよね」
陽って呼べる日が先になるのは惜しいけど、
それはまた、お守りの効果が出てからでも遅くないから。
それに、
ちょっと抜けた陽にも
やっぱりときめいちゃうからね。
「合格したのは実力なんです!」
今度は効き目を発揮してよ?
私は赤い袋に『恋愛成就』と書かれたお守りを
ポケットの中でそっと握った。
END