カテキョにぞっこん!
終業式のあった日だというのに、すでにプールは満員状態だ。
「だって今日はとくに暑いもん。
仕方ないよね」
そう呟く香奈の水着も、人混みのせいでほとんど目立たない。
「それで?
その陽サマはいつから来るわけ?」
香奈は浮き輪につかまりながら、興味深そうに聞いて来た。
なんだかちょっと顔がにやける。
だってまるで、彼氏の事を聞かれてるみたいなんだもん!
恋愛経験のない私は、こんな程度でそう感じてしまうのだ。
「来週から週2回だって〜。
どうしよう、今日駅前に、服とか買いに行こうかなぁ」
いつものようなTシャツ姿じゃ、ほんの少しの色気もない。
「すっごい大人っぽいのにしたら?
だってそこから、恋が始まるかもしれないじゃ~ん!」
香奈も自分のことのように、興奮してる。
「ちょっと香奈〜、そんなわけないんだから、やめてよぉ」
私は、大げさに水を掻き分けて香奈に抱きついた。
たぶん、全然そんなわけないような顔はしていないと思われる私。
にやけすぎて頬が痛い。
私はどうやら心だけじゃなくて、頭の中までも陽サマに射たれてしまったみたいだ。