花火の日
記憶
 「え!みさってタクヤ君が好きなのぉ?意外~」

 「ちょっとユカっ、声デカイってば」

 あれは去年の夏休み前。みさこがぼそっと友達にうちあけたひと言が、ひとたび女子の間で噂になった。

 「今年のお祭り、男女数人で行くんだけどさ、みさも一緒に行かない?タクヤ君も誘うからさ」

 「い、いいってば、恥ずかしいし……」

 「なーに言ってんの、この機会を逃したら次はないのよ。こっそり二人きりにさせてあげるから」
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