家族の時間

１１月２６日

１１月２６日、その日は朝から少し寒い日だった。
｢あかり、真穂ちゃん､起きなさい！｣
一階から母親の麻子(あさこ)がいつものように叫んだ。
川村家の朝は、いつもこんなふうにはじまる。
朝食をとるために、家族がキッチンに集まる。
二階から、あかり達以外の人達が降りてきた。
一番長兄の石橋渉(いしばしわたる)と衛(まもる)そして、いとこの啓悟(けいご)はいつも一緒に降りてきた。
｢母さん無理だよ。｣
渉はいつも同じ事をいっている。
｢結局、最後にいつも母さんが二階に行くじゃないか。｣
｢･･･でもね。今日こそ起きてくるような気がするの。｣
｢あかりちゃんは無理！姉ちゃんと一緒の部屋にしたから、二人とも無理だよ!!おばさん、あきらめたほうがいいよ。｣
啓悟は、呆れ顔で麻子に告げた。
結局、いつもと同じで麻子が二階に上がっていった。
二人の部屋のドアを、思い切り叩いた。
｢いい加減に起きなさい！｣
麻子がドアを開けた。
そして、二人を交互に揺すった。
｢いい加減しなさい！｣
麻子の怒鳴り声に､二人はびっくりして飛び起きた｡
川村家の平日の朝は､いつもこんな感じだ｡