家族の時間
健太が支配人をする結婚式場に樹里亜と淳美がやってきた。
「久しぶり〜。」
淳美はここで結婚式をした。
「二人ともなんだい?」
健太が二人の前にやってきた。
「おはようございます。」
樹里亜と淳美が挨拶した。
「昨日は悪かったね、あかりが急に行ってしまって。」
「おじさん、七恵の事。もうそろそろ話そうと思う。七恵も一時帰国するみたい。」
樹里亜がゆっくりしゃべった。
「わかった、今月に時間をつくろう。」
健太の言葉に樹里亜と淳美が頷いた。



家には、だいたい呼んだ人は集まった。
「遅れてすいません。」
樹里亜と淳美が入ってきた。
二人は、和宏とは反対側に座った。
「私があかりと健に出会ったのは、あかりが10歳の時、大人の女性が嫌いだった。だから、初恋の事もわからないくらい、女の子というか大人の人なの。」
麻子はその時を思い出していた。
「あかりと健の母親は、母親という事を拒否したの。…健が生まれてすぐ、育児放棄したの。だから、あかりは私たちと出会うまで大人になっていたの。子供でいられなかったの。」
麻子の言葉に和宏はうつむいた。
「あかりが二十歳になった時、あかりの母親として私はお節介な事をしたの。あかりの実の母親を捜して合わせようと思ったの。」
麻子はあの時を思い出していた。
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