家族の時間

あかりは麻子の書いた住所の場所に立っていた｡
渉､翔､沙織が一緒について来ていた｡
ドアをノックをすると中から女の人が出てきた｡
｢あんた､誰?｣
｢…あかりです｡｣
｢あかりね､あの女があんたに会って欲しいって言うから…｡迷惑だよね〜｡あの女の自己満足だよ｡｣
｢あなたは私の生みの母親ですか?｣
あかりの言葉を聞きながら女は玄関先で煙草を吸い始めた｡
｢はいと答えたら感動の再会になるの?やめてよね｡私は､あなた達を産んだ事を隠しているんだから､さっさと帰ってよ｡｣
｢わかりました｡｣
翔と沙織があかりを引っ張ってその場を離れた｡
渉も帰ろうとしたその時､
｢もう､二度と来ないでね｡｣
｢わかった｡｣
渉は返事をすると翔達の後を追った｡



｢あれは､私の自己満足なのよ｡あかりを傷つけた事は間違いないの｡けど､あの時､沙織ちゃんがついて行ってくれたから､…沙織ちゃんのおかげ｡｣
麻子は泣きそうな顔をした｡
｢母さん､渉あんちゃんと翔兄ちゃんは役に立たなかったの?｣
衛が聞いた｡
｢あかりにとっているだけでよかったみたい｡渉と翔はこれで本当の兄になったみたい｡｣
麻子は衛の質問に答えた｡