家族の時間
あかりの結婚式の洋服を買うために麻子達はデパートに来ていた。
「私はこれがいい。」
あゆみがかわいい洋服を選んだ。
美奈子の着物を見てピンクのワンピースを選んだ。
成人式にも着れるように美奈子は振り袖を作った。
志穂は亡くなった母親が着ていた振り袖を作り替えた。
真穂は成人式の時に買った振り袖を着る。
「志穂は、また成人式前に作りましょう。由美子はどんな服がいい?」
「私、私は…こっちのワンピースがいい。」
由美子は紺色の少し大人ぽいワンピースを選んだ。
麻子は頷き、由美子は試着室に向かった。
麻子がついて行こうとした時、携帯電話が鳴った。
(何かあったのかしら…。)
着信音が渉のものなので、麻子は不安になった。
「何かあったの渉?」
渉は七恵が帰国した事を伝えた。
「お父さんとあかりに連絡した?」
美奈子と志穂とあゆみと試着室から顔だけ出している由美子が心配そうに麻子を見た。
「そう、お父さんがあかりに言うのね。」
麻子は渉の言葉に頷きながら顔を上げた。
「わかった。じゃあね。」
麻子は電話を切った。
「おばさん、大丈夫?」
美奈子が不安そうに聞いてきた。
「大丈夫よ。…さあ〜、由美子、見せて頂戴。」
麻子は笑顔をした。
由美子は試着室から出てきた。
「かわいい!!」
麻子は由美子の格好を褒めた。
「あゆみと由美子はこの洋服にするの?」
麻子が何も無かったように話すので4人は先ほどの渉からの電話の事は次第に忘れた。
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